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2013年8月19日

【FCV】将来の燃料電池自動車はプラグイン仕様になるか(下)

2013年7月3日の当コラムでも取り上げました通り、ホンダとGM(米:ゼネラルモータース)は2020年頃に実用化する燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle)開発において包括的に提携すると発表しました。


【FCV】ホンダ・GMと提携 開発へ世界3陣営(2013年7月3日付コラム)

http://ev.gogo.gs/news/detail/1372851443/

このホンダとGMの提携がもしかすると、FCVの普及に大きな貢献をするものになる可能性があるのではと考え、前回、両社のFCVに関する技術的な特徴と戦略的な位置づけを紐解き、プラグイン仕様FCVの可能性を考えてみました。


http://ev.gogo.gs/news/detail/1376397291/

そこで今回は、ホンダおよびGMが取り組んでいる自動車へのプラグイン技術に注目し、プラグイン仕様FCVの可能性を考えてみたいと思います。



まず、2010年にプラグインハイブリッド車「Chevrolet Volt」の市販を開始したGMは、既に同車を世界全体で5万台以上販売しました。「Volt」はプラグインハイブリッド車専用として開発された自動車ですが、この点からもGMの本気度が判ります。


(参考)

Volt販売台数:http://en.wikipedia.org/wiki/Chevrolet_Volt

プリウスPHV販売台数:http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20130628/290452/


特にVoltが採用したE-FLEXシステムは、2007年の「Volt」発表会で当時副社長のBob Lutz氏が述べた通り、ガソリン、ディーゼル、エタノール、そして水素燃料電池など、電力を発生できるあらゆる手法を適用でき、走行できる事が大きな特徴です。


(1分30秒あたりから、E-flexについてBob Lutz氏が説明しています。)


更にGMがプラグイン技術に注目していることは、北米の大学生向けに行われている「EcoCAR」コンペからも見て取れます。「EcoCAR」コンペとは北米の大学生、大学院生が低燃費、Well to Wheelでの温室効果ガス発生量の低減、ユーザ利便性を確保する量産レベルの自動車を設計、試作し、その性能と、対外的な取り組み等が評価するものです。GMはこれまで、本コンペのメインスポンサーと審査員をつとめ、車体や燃料電池、エンジン等を提供してきました。


2013年現在「EcoCAR2」コンペが行われておりますが、2011年に終了した「EcoCAR」、現在行われている「EcoCAR2」共に、多くのチームがプラグイン技術+発電(エタノール/E85エタノール or 水素燃料電池)をパワートレインに採用しました。

EcoCAR2ウェブサイト




▲Missouri S&T EcoCAR teamが開発したプラグイン水素燃料電池自動車(出典:Missouri S&T EcoCAR tema WEBサイト)


そして、米国で実施されるこの種のコンペについて考慮すべき点は、スポンサー企業のアウトソーシング的な側面があるという事です。すなわち、与えるテーマやルールから、必然的に選択出来る技術が限られ、その中で設計する限り、結果的に企業が検証して欲しいものを各チームが分担することになる訳です。


この意味で、GMはコンペを通じ、「プラグイン+α」の最も良いαが何かを検討させていると言っても過言では無く、一方で、底流にプラグイン技術を置く姿勢が伺い知れます。(※同時に、シリーズ型/パラレル型/シリーズパラレル型の形式の違い、二次電池容量の違い、FF、FRの違いなどについても検討対象になっていると思われます。)



対するホンダですが、ホンダがこれまで開発してきたFCVの燃料供給源は水素のみでした。しかし、東日本大震災以降にホンダは、FCX clarityに電力抜き出しポートを取り付けたのです。

燃料電池電気自動車から家庭へ電力を供給する実証実験を開始 ~給電機能を装備した「FCXクラリティ」を北九州市に納車~


(出典:ホンダwebsite)


この電力抜き出しポートとして自動車側には「CHAdeMO」コネクタが設置され、そこから直流電力を取り出し、インバータを通じて交流に変換する形態が採られました。つまり、Leaf to Homeと全く同じ技術様式です。


ここまで申し上げればお気づきになられる方も多いかも知れません。つまり、FCX clarityは電力を送れば充電することが可能な状態にあると言える訳です。更に、今年6月にリース販売が開始された「アコードプラグイン」は、上記FCX clarityと同様の電力取り出し技術が採用され、同時に充電用ポートも搭載されました。

(※余談ですが、アコードプラグインは、FCVで当初予想されている販売戦略、すなわち「法人/官公庁向けリース販売」「500万円台」という点に共通点が見られます。)



(出典:ホンダwebsite)


このようにホンダの最近の動向を見ると、ホンダがリリースするであろうFCVは、燃料が水素だけではなく、電気も加えられる可能性が十分あると考えられる訳です。


なお、対するトヨタはバスに電力供給機能を持たせようとしていますが、乗用車への同様技術搭載に関する報道、情報は今のところありません。

トヨタが燃料電池バスから電力供給を可能に、最大3kWを出力

以上のGMおよびホンダの取り組み、開発状況、プラグイン車の販売状況、車に対する考え方、技術面を考慮すると、GM、ホンダは燃料電池技術に充電技術をセットとして使ってくる可能性が高いのではないかと推察されるのです。



2回にわたり考えて来た「燃料電池自動車のプラグイン化」ですが、今回はGMおよびホンダの自動車への電力接続ポートの搭載状況について述べました。


2015年のFCV市販開始まで2年を切り、自動車メーカの開発陣に残された時間は少ないでしょう。一方、水素供給インフラの整備は2015年以降しばらく時間が必要であり、当面の間は消費者の利便性を水素以外の方法で確保することも重要です。その観点からもプラグイン技術が一定の価値を持つことは間違いなく、充電可能なFCVは水素ステーションの少なさを補えるかも知れません。そして、さらに先の将来の”ゼロエミッション”は、電気+水素の組み合わせとなるかも知れません。


様々な可能性のあるFCVの販売開始を楽しみに待ちたいと思います。

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