【東京モーターショー2017】コンセプトカーから、東京モーターショー2017を読み解く

掲載日:2017年11月3日

2017年10月25日(水)~11月5日(日)まで、東京ビッグサイト(東京都江東区有明3-1-1)にて、東京モーターショー2017が行われています。初日および2日目はプレスデー・特別招待日、3日目より一般公開が行われました。
GoGoEVメンバーも取材に行ってきましたので、当コラムでその様子を徐々にご紹介したいと思います。

今回のテーマは「Beyond The Motor」であり、車が進化した未来のクルマについて、その可能性、自動車産業の次のミッションなどが示されました。
そこで、東京モーターショー関連、第一回目のコラムでは、各社の主なコンセプトカーから、未来の自動車(四輪車)の考え方や視点を読み解いてみたいと思います。

▲会場となった東京ビッグサイト

目次


1. トヨタ自動車
2. ダイハツ
3. LEXAS
4. フォルクスワーゲン
5. AUDI
6. 日産自動車
7. 三菱自動車
8. Honda
9. スバル
10. マツダ
11. スズキ
12. メルセデスベンツ・SMART
13. 三菱ふそう・トラックバス
14. BMW
15. ISUZU

1. トヨタ自動車


今回のトヨタ自動車のテーマは「START YOUR IMPOSSIBLE ~クルマから愛を、もっと~」。その目玉は、既に様々なメディアでも紹介されている「TOYOTA Concept-愛i」でしょう。人工知能がパートナーとなり、運転者・同乗者とのコミュニケーションをはかることで、関係性を築いていくことが提案されています。それが新たな愛車の形だとの事です。

また、「Concept-愛i」はいずれもEVですが、これは、EVは自動運転技術や人工知能との相性が良く、例えば、コントロールがし易い事、自動車の運転に関するデータを取得し易い事から、電動車にしていることを挙げられていました。

▲TOYOTA Concept-愛i


▲TOYOTA Concept-愛i

また、将来の水素利用時代を見据え、移動時間をより有効に、また充実して過ごせるようなコンセプトも提案されています。「TOYOTA Fine Comfort Ride」は、水素燃料電池により、1回の充填で1000kmの航続が可能となった場合、車内でゆったりと過ごしたり、会議や打ち合わせなどが行えるような移動空間を提案しています。

また、「FUEL CELL BUS SORA」は2020年の東京オリンピックを見据えた燃料電池バスのコンセプトであり、社会の奉仕車として環境に配慮すると共に、バスとしての安全性・居住性にこだわったバスとなっています。

▲TOYOTA Fine Comfort Ride


▲FUEL CELL BUS SORA

上記以外にも、トヨタ自動車は、「GR HV SPORTS Concept」や「CROWN Concept」なども提案しており、スポーツカーとしての未来のクルマ、安全性・走行性・快適性を考慮した未来のクルマなども提案しました。

▲GR HV SPORTS Concept(左)、CROWN Concept(右)

これらのように、トヨタ自動車は数々のコンセプトカーを提案。それらが目指す世界は、モビリティによるもっとよい社会であり、そのためにはテクノロジーの限界を超え、挑み続けて行き、それが、全ての人の不可能に挑戦することになると考えています。そして、トヨタ自動車のディディエ・ルロワ副社長は全ての人に移動の自由を提供することを強調し、それがグローバル企業としてのトヨタのチャレンジとも述べています。

▲プレスカンファレンスに登壇したディディエ・ルロワ副社長

2. ダイハツ


ダイハツのテーマは「Light you up ~らしく、ともに、軽やかに~」。一人ひとりにうれしいものを提供していくとの想いでの提案が行われました。一番の目玉は、未来の働く人のパートナーとしての商用EVコンセプトモデル「DN PRO CARGO」。EVとすることにより低床・低重心によるウォークスルーの大容量空間が確保され、配送車や往診車などの利用も想定されています。
また、商用車は移動がある程度限られる事からEVに適しているとも考えられており、その点から、EVとして提案されたようです。

▲DN PRO CARGO

EV以外のダイハツのコンセプトカーは、豊かなアクティブシニアのセカンドライフを対象とした「DN COMPAGNO」と、忙しいママを対象に使い勝手の良さを追求した「DN U-SPACE」。とりわけ「DN U-SPACE」は大きく開くスライドドアが印象的でした。

▲DN COMPAGNO(左)、DN U-SPACE(右)

日本の軽自動車市場でナンバーワンのダイハツだからこそ、EVや自動運転などの新技術を現実的に取り込みながら、広い顧客層を対象にしたコンセプトが打ち出されている感じを受けました。

3. LEXUS


LEXUSから提案されたコンセプトカーは「LS+Concept」の1車種。これは、LEXUSのフラッグシップモデルである「LS」シリーズの進化をイメージさせるものです。
特徴としては、2020年の実用化を見据えた自動運転技術の搭載、冷却性能と空力性能を両立させたフロントグリルなどでしょうか。ただ、LEXUSからは今回、プラグインハイブリッド車や燃料電池自動車などの提案は行われておらず、パワートレインとしては既存のガソリン車・ハイブリッド車が中心に据えられていました。

▲LS+Concept

4. フォルクスワーゲン


フォルクスワーゲンは同社のコンセプトである「We make the future real.」に基づき、2025年を見据えた具体的なラインナップの展示が行われました。同車はコアラインナップを電動化・自動運転化することを目指しており、EVコンセプトカーとして「I.D. BUZZ」を展示しました。

I.D. BUZZはマイクロバスのコンセプトを具現化しており、バンタイプでかつて人気のあったのフォルクスワーゲン タイプⅡを彷彿とさせます。また、気になるEVとしての性能ですが、欧州のNEDC走行モードにおいて航続距離600km、完全な自動運転モードも想定しているようです。

▲I.D. BUZZ


▲I.D. BUZZ

プレスカンファレンスにおいては、フォルクスワーゲングループジャパンCEOのティル・シェア氏ならびにフォルクスワーゲン取締役のユルゲン・シュタックマン氏が登壇し、2025年までに年間100万台のeモビリティ(EV・PHEV)を販売すると述べています。ディーゼル排ガス問題で揺れたフォルクスワーゲン社ですが、EV・PHEVシフトを強く感じる内容でした。

▲ティル・シェア フォルクスワーゲングループジャパン社長

5. AUDI


アウディのテーマはAUDI AI Experience。ブースのいたるところでAIという文字が見られ、自動運転化が強く進められている印象を受けました。その中の象徴的なコンセプトカーが「AUDI Elaine concept(アウディ エレーヌ コンセプト)」です。

2019年を想定した完全自動運転(レベル4)のEVであり、500kmの航続距離が謳われています。また、日本にも2020年頃までの導入が考えられているようです。

▲AUDI Elaine concept

6. 日産自動車


日産自動車が強調していたメッセージは「Nissan Intelligent Mobility(ニッサン インテリジェント モビリティ)」。この概念をそのまま具現化したのが「ニッサン IMx」です。まさに、クルマとドライバーとがよりつながり、クルマはドライバーの頼れるパートナーとなることが想定されています。

▲ニッサン IMx


▲ニッサン IMx

また、電気自動車によりスポーティーな走りを実現したいとの考えから企画されたEVのコンセプトモデルです。電気自動車だからこその出発力の高い加速性能を最大限生かすと共に、専用サスペンション、高性能タイヤ、専用エクステリアなどが採用されています。なお、NISMOモデルは今月から発売される予定となっています。

▲LEAF NISMO Concept

7. 三菱自動車


今回の東京モーターショーにおいて、三菱自動車はそれまでのブランドメッセージであった「Drive @ earth」を刷新し、「Drive your Ambition」に変更すると発表しました。新たにルノー・日産アライアンスの一員として、”新しい三菱自動車”として未来を切り拓いていくとの思いが込められているとのことです。

その、新たなブランドメッセージ「Drive your Ambition」を象徴する自動車が「MITSUBISHI e-EVVOLUTION CONCEPT」です。アウトランダーやi-mievにおいて培った電動技術、そしてパジェロから続くSUV四輪制御技術を進化させ、AI技術を搭載し、ドライバーの意思や感情を読み取りコミュニケーションを取るように進めていく点にも触れられています。

▲MITSUBISHI e-EVVOLUTION CONCEPT


▲MITSUBISHI e-EVVOLUTION CONCEPT

「MITSUBISHI e-EVVOLUTION CONCEPT」で特徴的なのは、フロントに1つ、リアに2つのモーターを搭載し、トリプルモーター方式の4WDシステムとすることで、どのようなアウトドアフィールドにも対応できる新しい運転体験をドライバーに提供することも考えられています。EV化を強く見据えた三菱自動車。今後、日産との連携により、よりワクワクするEV・PHEVの展開が期待できると感じました。

▲プレスカンファレンスで登壇した山下光彦副社長

8. Honda


今回の東京モーターショーにおけるホンダの展示のテーマは「自分を、もっともっと連れ出すんだ。」です。自動運転やAI化などもコンセプトとして提示されていますが、とりわけ電動化を強調していたのがHondaでした。今回出品された「Honda Sports EV Concept」、「Honda Urban EV Concept」「NeuV(ニューヴィー)」はいすれもEVであり、他に、Clarity PHEVや多数のEVバイクなども提案されています。

「Honda Sports EV Concept」は、EVだからこそ、人とクルマがひとつになるという、ホンダが追い求めてきたコンセプトを深められる新しい時代ののりものとしてコンセプトが提案され、また、「Honda Urban EV Concept」は今まで以上にやさしく人の生活に調和する存在としての提案になっています。

▲HONDA Sports EV Concept(左)とHONDA Urban EV Concept(右)

他方、「Honda NeuV」は新しいモビリティ文化を想像するクルマであり、AI技術によって人と一緒に暮らすパートナーとして、心をもった乗り物がコンセプトになっています。

▲Honda NeuV(ニューヴィー)

Hondaの一貫した考えは、環境のことを考えるとゼロエミッション化が重要であり、そのためには自動車の電動化、すなわち、自動車はEV、FCVとなっていく必要があると考えています。トヨタ自動車などは、自動運転との相性から電動化を捉えていたことと対照的で、その点も印象に残りました。

9. スバル


スバルは今年4月、社名を株式会社SUBARUに変更、「はじまるSUBARU」をテーマに安心と愉しさの世界観を表現したブースを展開しました。コンセプトカーとしては、SUBARU VUZIV PERFORMANCE CONCEPT、XV ADVENTURE CONCEPT、IMPREZA FUTURE SPORT CONCEPTの展示を行いました。

特に、Vision for Innovationを語源とするVIZIV(ヴィジヴ)という造語を与え、新しいビジョン、新しい魅力を生み出していくという意味が込められています。ただ、スバルの展示では自動運転やAI、EVと言ったキーワードは見られず、その反面、地道なクルマ作りを行っているという印象も受けました。

▲スバル VIZIV PERFORMANCE CONCEPT(左)、IMPREZA FUTURE SPORT CONCEPT(右)

10. マツダ


マツダの今回のテーマは「『走る歓び』で、クルマを愛する人に人生の輝きを提供する」というものです。デザインにこだわり、魂動デザイン”Mazda Elegance"を体現した「VICION COUPE」、また、次世代ガソリンエンジン「SKYACTIVE-X」を搭載した「MAZDA KAI CONCEPT」は、いずれもマツダがクルマの本質にこだわり続け、クルマを通して人生を、また人の心を豊かにしたいとの考えから生まれています。
スバル同様、自社の技術、ポジションから、次に打ち出すべき内容を明確にした展示と感じました。

▲VISION COUPE(左)、マツダ KAI CONCEPT 魁(右)

11. スズキ


スズキからは久しぶりの電動四輪車が登場です。未来のコンパクトSUVとして展示された「e-SURVIVOR」は、ジムニーをはじめとする同社のデザインを継承し、次世代のイメージで作られた電動SUVです。前後それぞれ2つずつ4モーター構成で、各車輪は独立駆動します。そのため、路面や走行状況に合わせたきめ細やかな駆動力制御や機動性が実現できるようになるとのことです。

▲e-SURVIVOR

また、コンセプトカーとしては同社の主力商品であるスペーシアのコンセプトモデルなども展示されています。これらすべてを含め、スズキは、「WAKUWAKU(ワクワク)」をテーマに、誰でも、どこへでもワクワクできる車を作り続けたいとの想いが述べられていました。

12. メルセデスベンツ・SMART


ドイツの自動車メーカーの雄、ダイムラー社が展開するブランド、メルセデスベンツ。同社は充電可能な電動自動車モデルをEQブランドとして展開していますが、そのEQブランドのコンセプトカーが今回展示された「Concept EQA」です。既に、EQという名称でのコンセプトカーはこれまで幾つか提案されてきましたが、今回のEQAは最高出力200kW、航続距離400km以上で、かつ、フロントグリルは走行モードによってデザインが変わる仕掛けとなっています。

▲Concept EQA

また、同じくダイムラー社のブランド、SMARTも電動化を進めています。メルセデスベンツと同じくEQブランドを展開、smart vision EQ fortwoはハンドルやブレーキ・アクセルのペダルも存在しない、完全自動運転車をイメージしています。用途としてはカーシェアリング専用車として考えられており、同社が考える未来のモビリティがどのようになるかを具体的に、また分かり易く提示したと言えそうです。なお、フロントグリルには「お先にどうぞ」というサインが表示され、様々なサイン表示により、他の自動車や歩行者などとの意思疎通なども行っていくことを想定していると思われます。

▲Smart Vision EQ fortwo

既に、メルセデスベンツからは4車種のプラグイン車が、SMARTからは1車種の電気自動車が販売されていますが、それらの流れはこれからも継続し、今後、2022までに10モデル以上の電動車種の展開が予定されています。

13. 三菱ふそう・トラックバス


先日、eCanterを発売開始した三菱ふそう・トラックバスですが、それを含む電気トラックを「E-FUSO」というブランドで新たに展開すると発表しました。そして、その中でもひときわ目を引いたのが「VISION ONE」というコンセプトモデル。航続距離350kmとなり、数年以内の市販化を目指すとの事です。
同社のマーク・リストセーヤ社長は、2020年の販売比率を5%、2022年には同比率を25%にすると意欲的な目標を述べ、今後、急速に商用車の電動化を進めていくことが示されました。

▲E-FUSO VISION ONE(左)、マーク・リストセーヤ社長による発表(右)

これまで、三菱ふそう・トラックバスはEVトラックやEVバスの分野では、あまり注目が集まっていなかったため、先日のeCanter発売開始に続き、今回の東京モーターショーでも大きな驚きを受けました。担当者によると、ダイムラー本社からのプレッシャーもあり、既に幾つかの開発、企画が走っているとのこと、今後、さらなる展開が期待できそうです。

14. BMW


今回のBMWは、ブースを訪れるだけで同社のコンセプト「駆けぬける歓び」が感じられる内容となっていました。コンセプトカーとして提示されたのはZ4と最上級クーペ8シリーズ。Z4は無限の自由と、無上の歓びをドライバーに与えるクルマであり、また、8シリーズはアスリートの気質と、紳士の気品の2つの要素をまとったクルマとしてデザインされています。
ただ、いずれもエンジン車であり、iシリーズやEV・PHEVにおいては新たなコンセプトカーは提案されませんでした。

▲BMWコンセプトZ4(左)、BMWコンセプト8(右)

15. ISUZU


最後に、コンセプトカーとして新たな運搬車を提案したISUZUをご紹介したいと思います。ISUZU「FD-SI」は未来の配送を創造したデザインコンセプトであり、ドライバーの環境を時代の最先端にすることが目指されています。そのため、居住性と操作性を快適にするデザインとして運転席を車両中央に配置、また、運転席から荷物スペースにスムーズにアクセスできると共に、荷物容量も確保できるようになっています。
ただ、パワートレインに何を選ぶかと言う点は特に定められておらず、あくまで、「運ぶ」ということを支えるためのトラックのコンセプトとして提案されました。

▲デザインコンセプトFD-SI

以上、東京モーターショー2017で提案されたコンセプトカーに絞り、見てきました。時代の流れから、電動化や自動運転、AI導入など、様々な技術が盛り込まれ始めている一方、自動車会社としてそれら技術と一線を画している会社もみられます。また、EVやPHEVを展開しているものの、コンセプトカーとしては自社のアイデンティティにこだわっている会社などもありました。

それらを含め、会場を訪れた筆者の率直な感想として、既に、自動車の電動化という流れは”普通”になりつつあるということを強く感じることになりました。それは、例えば、プリウスが出た2000年前後は、ハイブリッド車というものは目新しかったですが、今、その技術はあらゆる自動車に展開され、また、F1レースなどでもハイブリッドが当たり前になっています。

今後、EVやPHEVなどのプラグイン自動車、電動自動車は、自然と社会の中に溶け込み、いつの間にか、周りはそのようなクルマばかりという状況も、そう遠くないのかも知れません。いよいよ、電動自動車普及の時代に入ったと言えそうです。

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