【EV】タイが充電インフラ設置へ

掲載日:2016年9月5日

今年8月15日、タイ石油会社大手PTT、及び自動車会社6社の間に於いて、タイにおける充電スタンドを2017年までに20基普及させること対するMOUを締結しています。

自動車会社6社とはBMW、メルセデスベンツ、三菱自動車、日産自動車、AAS auto service(ポルシェのタイでの代理店) ,Volvoです。


△出典:http://energynewscenter.com/index.php/news/detail/305

タイの記事によると、タイ政府は2036年までに120万台のEVを普及させる計画のようです。
また、特例措置として、最初に輸入されるEV5,000台に対しては輸入税を0%とし、かかる税金は付加価値税の5%のみとすることも決定しており、今後タイ政府はEVに力を入れ始めていく方針のようです。

今回はこのタイの方針に対して個人的な見解を書きたいと思います。

1.バンコク市内のユーザーであれば、受け入れられるか。
バンコクに行ったことがおありになる方は、ご存知だとは思いますが、バンコク市内はかなり発展をしてきており、賃金水準も徐々に上がってきています。一部の富裕層であれば、少々割高なEVであれば購入する財力はあると思います。また、バンコク市内の通勤の行き帰りだけに使うという用途であれば、自宅で充電できますし、ランニングコストを押さえられるので売れる可能性はあると思います。自分自身もバンコク市内で、BMW i3を何度かすでに目撃しています。初期の段階では、電気自動車の輸入税も優遇されることから、バンコクの新しい物好きにとっては喉から手が出るほど欲しい車かもしれません。但し、現在は充電スタンドがないので、自宅で充電が可能な富裕層に限られます。

2.一般のユーザーが購入するのにはかなり時間を要する
但し、郊外を見てみると新卒給料は1万−1万3千バーツ(約3万−4万円)となっており、いくらランニングコストが良いからといっても、初期投資が大きいEVを買うインセンティブは少ないと思います。また、地方郊外都市は未だに車以外のインフラ網が整備されてないところもあるので、自家用車で都市間を行き来することも比較的頻繁に行っているように見受けられます。そのような使用方法をしている方々に航続距離実質150−250kmのEVが早い時期に受け入れられるとは少し考えづらいです。また地方郊外都市に住んでいる方は農家の比率が非常に高く、その層はピックアップトラックを使用しており、この層にまでEVが浸透するのは相当先になると思います。また軽トラックのようなものをあまり好まないので、三菱minicabmievのような車も流行りにくいと考えます。

3.政府税制方針を注視
タイの自動車市場を見てみるとおよそ45%程度がピックアップ自動車という稀な市場になっています。この背景にあるのはタイ政府がピックアップ自動車の生産・販売に対して税制的な優遇措置を取ってきたからです。現時点ではCO2排出量に対する税制に転換してきましたので、将来的にはピックアップ車のシェアは低くなっていくかもしれません。そのような歴史のあるタイで政府がどのような税制制度を打ち出してくるのかは注視してみていかなくてはいけません。政府が長期的に電気自動車生産・販売に対して優遇措置を打ち出してくるようであれば、早い将来に電気自動車の普及は進むかもしれません。

4.誰が充電インフラを整えるのか
来年までに設置を行う、最初の20機については上記のMOUを結んだ企業群で設置していき、状況を見るということになると思います。一方で、日本の充電インフラを見ていて断言できると思いますが、充電インフラだけで収益を得ることは困難だと思います。その為、結局は国が主導して充電インフラを整備していくことになると思いますが、タイ政府は現在高速鉄道網、幹線道路拡大等かなり大掛かりなインフラ投資計画を計画しており、優先順位がどの程度なのか見極めなければいけないとも思います。おそらく、充電インフラの設置には相当時間がかかるのではないかというのが個人的な見立てです。

5. 政治リスク
 さらに現在のタイ政府は不安定な状態です。現在は軍事政権であり、先月新たな憲法を制定するための国民投票を行ったばかりです。一部では来年の10月くらいに民政に戻すための選挙が行われる予定と言われていますが、この国では遅れることは日常茶飯事なのでどうなるのかわかりません。そして政権が変わってしまえば、あっという間に方針を変えてしまうこともありえなくはないです。

最初の5年程度は先進国で生産した EVを完成車輸入することになるのだろうと思います。各自動車メーカーにとっては将来アジアのどこでEV生産を行っていくのかということもキーになると思いますが、タイの政治不安の中で決めずらい反面もありますね。
何れにしても個人的にタイは東南アジアの要であると思っていますので、タイでまずEVが走っていかないとミャンマー、ラオス、カンボジア、マレーシアなどの隣国にもEVが普及していかないと思います。まだまだ解決することだらけですが、そういう意味でこのようなEV普及に前向きなニュースは嬉しいですね。

▲参考情報:
Energynewscenter(タイ語)
Thairathニュース(タイ語)
AAS AUTO SERVICE社ホームページ

(執筆:s_kuroda)

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