GoGoEVからのお知らせや、アンケートの結果、充電スタンド関連企業のプレスリリースを掲載しています。
2016年9月26日
離島を中心に行なわれている電気自動車(EV)導入の取り組みについて、沖縄県沖縄本島・宮古島、長崎県五島列島・壱岐、鹿児島県屋久島、新潟県佐渡、香川県小豆島・豊島などで幾つかのプロジェクトが行われてきました。それらプロジェクトがその後、どうなったのか、先月より本コラムで特集を組み、取り上げています。
第一回、第二回は、レンタカーとして100台規模のEVが導入された沖縄本島、長崎県五島列島を取り上げました。今回からは趣向を少し変え、小規模ながら徐々に普及を目指す離島地域のEVの取組みを取り上げたいと思います。そこで第三回目の本日のコラムでは、沖縄県宮古島を取り上げます。
◯GoGoEV関連コラム:
-【EV】離島地域のEV&充電スタンド事情(第一回; 沖縄本島)(2016年8月29日付)
-【EV】離島地域のEV&充電スタンド事情(第二回; 五島列島)(2016年9月2日付)
沖縄県宮古島市は、沖縄本島の南西290kmに位置する人口5万人の島です。同市は2008年に「エコアイランド宮古島宣言」を制定、これにより宮古島は「エコアイランド」をキャッチコピーとして動き出すことになります。
低炭素社会の目指す社会の姿を具体的に分かりやすく示すため政府が2008年より行った「環境モデル」事業においても2009年に選定され、以降、全国の中でも特色ある取り組みとして注目されてきました。その宮古島市において、2010年頃より本格的にEVの導入が検討され始まります。
同市が2011年に策定した「地域新エネルギー・省エネルギービジョン」では、公用車などを中心にEVの導入を進め、2020年までに市内の自動車のうち20%をEVに置き換えると言う大胆な目標を掲げました。また、宮古島ならではと思われるのが、E10などバイオエタノール燃料の活用で、自動車部門の二酸化炭素排出を、バイオ燃料と電気によって削減しようとの計画が作られました。
▲地域新エネルギー・省エネルギービジョン(出典:宮古島市ウェブサイト)
ちょうどその頃、沖縄本島でリーフ220台が導入され、それに伴い、宮古島にも何台かEVリーフがレンタカーとしてやってきます。それらレンタカーの活用の動きは島外より持ち込まれたものだったのですが、それとは別に、宮古島の市内企業からもEV普及の動きが始まっていきました。
充電スタンドの整備については、2011年に宮古島市独自の補助金を制定、それにより充電スタンドが徐々に整備され始めたのですが、当時、宮古島でEVの普及を推進する中心企業の方から、何度となくGoGoEV(当時はEVNAVI)事務局にご連絡を頂いたことを良く覚えています。また、充電スタンドの利用料金については、日本充電サービスなどの課金サービスとは接続せず原則無料で解放され、2016年現在も無料で使える状況です。
この、充電料金を無料にした点が沖縄本島のプロジェクトとの大きな違いでした。沖縄本島の場合、EVの普及開始時点から課金サービスを設けたもののそれが足枷となり、レンタカー以外の普及に大きく貢献できなかった帰来があります。それに対し、宮古島は無料で開放することで、広く使ってもらえる体制を当初より築きました。
運営主体についても宮古島市が主体的に行っています。この点については五島列島の取組みと似ており、収益事業として無理のある時点で民間が事業化しないことで、インフラを長く持続させることができていると思われます。
▲宮古島市内の充電スタンドの設置状況
ところで、上でも少し述べましたが、宮古島のEV導入におけるポイントのもう一つは、民間主体の自動車普及啓発にあると思われます。もともと、宮古島には「ロータス東和オート」さんと言う三菱自動車のサテライトショップがあったのですが、同社はi-Mievから始まり、Minicab Miev、アウトランダーPHEVなどを積極的に取り扱ってこられました。さらに、三菱系ディーラーながらも日産リーフについてもメインテナンスが行える体制を作り、宮古島市内にEVを新車、中古車問わず徐々に販売を行っておられます。
そのような努力の甲斐もあってか、今年に入ってからもEV/PHEV問わず納車が行われており、徐々にではありますが普及が進んでいる状況にあるようです。
現在、同社が中心となった「エコアイランド宮古島EV協議会」が2015年に設立され、普及啓発活動にも力を入れています。Youtube映像がありましたので、宮古島の雰囲気を少しでも感じて頂ければと思います。
▲エコアイランド宮古島EV協議会のプロモーション映像(出典:Youtube)
宮古島のプロジェクトの他の特徴として、大手企業との連携も挙げられます。2012年には三菱自動車工業と「EVアイランド宮古島プロジェクト」協定を締結し、自動車ならびに急速充電器の提供などを受けています。
▲「EVアイランド宮古島プロジェクト」協定調印式の様子(出典:宮古島市ウェブサイト)
また、2013年からは本田技術研究所および東芝と「小型電動モビリティおよび電力供給装置の活用に係る社会実験」の協定を結び、その後、2014年にはホンダ製マイクロモビリティ「MC-β」が2台、持ち込まれ、その後、2016年3月まで実証試験が行われました。
▲宮古島市に持ち込まれたホンダMC-β(出典:ホンダプレスリリース)
実証試験中には、市内各地のイベントで試乗会を実施したり、職員の通勤などに活用されていましたが、実証試験終了後の今年4月より、市民向けの月単位レンタル(月額17,000円)が始まっています。
2016年9月26日現在、本年度1~3月期の追加の募集が行われているとのことですので、もしご興味のある方はウェブサイトにアクセスしてみてください。
▲MC-β利用者募集チラシ(出典:宮古島市ウェブサイト)
このような動きが重なってきたことにより、宮古島市では2014年に「エコアイランド宮古島の推進に関する条例」が制定され、2015年にはエコアイランド宮古島推進計画が作られています。2015年時点の目標は、当初から若干後退し2030年EV普及率40%を目指すというものですが、それでも尚、ますますEVの普及を通じて、環境への貢献を強めて行こうという動きが発展しているように見られます。
民間が主導的に動きつつも、行政が計画を立てることによって市全体にEV普及に向けての取り組みが広がりつつある宮古島の事例は、島嶼部など限られた範囲内におけるEV/PHEV本格普及のための色々なヒントが含まれているかもしれません。
●参考ウェブサイト:
2024年11月18日 【結果報告】環境問題への対策のための実証実験【昼充電へのシフトによる環境貢献】New |
2024年11月5日 環境問題への対策のための実証実験が終了しました【ご協力への感謝と参加特典のご案内】 |
2024年10月17日 パワーエックス 月額プラン「PowerX First」の提供開始を発表!業界最安級の従量課金制でEV充電のファーストクラスを実現 |
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