【EV】離島地域のEV&充電スタンド事情(最終回; 屋久島)

掲載日:2016年11月4日

8月より4回にわたり離島地域の電気自動車(EV)&充電スタンド事情コラムについて連載してきました。第一回、第二回は、レンタカーとして100台規模のEVが導入された沖縄本島、長崎県五島列島を取り上げました。第三回と第四回は、小規模ながら徐々に普及を目指す離島地域のEVの取組みに注目し、沖縄県宮古島および香川県小豆島を取り上げました。

◯GoGoEV関連コラム:
-【EV】離島地域のEV&充電スタンド事情(第一回; 沖縄本島)(2016年8月29日付)
-【EV】離島地域のEV&充電スタンド事情(第二回; 五島列島)(2016年9月2日付)
-【EV】離島地域のEV&充電スタンド事情(第三回; 沖縄県宮古島)(2016年9月26日付)
-【EV】離島地域のEV&充電スタンド事情(第四回; 小豆島)(2016年9月30日付)

離島はエネルギーコストが本土地域と比べて高く、その事から、エネルギーの自給自足の一環として電気自動車(EV)導入の取り組みが進められています。これまで4箇所の離島について取り上げてきたことで、それぞれの地域に根差した特徴があることもわかってきました。最終回となる今回は、それら様々な取り組みの中でも、EVの活用をCO2削減に直結させると共に、どんどんとEVの普及が進んでいる離島での取り組みとして、鹿児島県屋久島を取り上げます。

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屋久島は鹿児島県の大隅半島佐多岬沖、およそ60kmに浮かぶ円形の島で、2016年9月時点の人口はおよそ13,000人となっています。九州最高峰となる標高1,936mの宮之浦岳をはじめ、1,000m級の山々が沢山あることも特徴です。多くの人が訪れるきっかけとなったのが1993年にユネスコの世界自然遺産に登録で、樹齢数千年の屋久杉や縄文杉は訪れる人を魅了します。

電力供給の観点でも、屋久島は日本の他の地域とは大きく異なっています。その山岳地形と年間降水量8,000mmという豊富な水資源が幸いし、町内電力のほぼ全てが水力発電によって賄われています。非常時に備え火力発電所も設置されていますが、その稼働率は僅かとのことです。

このような水力発電が豊富な屋久島では、鹿児島県が主導し2009年に「屋久島CO2フリーの島づくり」研究会を発足させ、以降、CO2排出削減を目的とした取り組みが進められてきました。そして、2010年にリーフの発売が開始されると、日産自動車と『屋久島CO2フリーの島づくりの推進に関する協定』を結び、EV普及の取組みも行われてきました。

とりわけ、国のEV補助金に加え、鹿児島県が独自に創設したEVの2010年より電気自動車(EV)の導入が徐々に進められています。鹿児島県が独自に創設する「屋久島電気自動車普及促進支援事業」では、国による補助事業に加え、1台あたり最大90万円の補助を追加で受けることができ、日産リーフの場合、新車が189万円から購入する事ができます。

▲「屋久島電気自動車普及促進支援事業」補助対象車種(出典:鹿児島県ウェブサイト)

県の独自補助による想定台数は年間30台程度とのことですが、制度創設から既に6年が経過し、既に181台が導入されました。補助が受けられるのは、(1)屋久島町に居住している個人、(2)屋久島町に事業所を有している法人及び個人事業者、(3)上記の方々に電気自動車を貸与するリース事業者のいずれかに該当する方ですが、そのうち、(1)個人によって購入されたEVがすでに95台と、全体の過半数となっています。なお、県および市の公用車は10台程度、他に、タクシー事業者なども含めてEVを多数運用しているようです。

▲屋久島のEVタクシー(出典:屋久島交通タクシーウェブサイト)

このように、人口13,000人に対して180台の普及規模は、おそらく日本で最も密度の高い普及状況ではないでしょうか。さらに、台数の伸びがとどまることなく、今もなお増え続けているところが屋久島の取り組みのポイントかと思います。

さらに、屋久島のほぼ全ての電力が水力発電で賄われ、CO2を発生していないということから、2014年3月にはBMW i3のジャーナリスト向け試乗会なども行われました。ご存知の方も多いと思いますが、BMW i3はその製造工程で使用される電力の全てを風力発電や水力発電を活用するなど、素材から生産まで持続可能なもののみで作られています。
従って、屋久島の電力のほぼ100%が水力発電であることから、屋久島で充電し走行する事は、完全にCO2フリーとなるということで、まさに屋久島だからこそ成り立つイベントでした。

▲BMWが実施したi3試乗会(出典:鹿児島県ウェブサイト)

充電スタンドについては急速充電スタンドが4箇所(6基)、普通充電スタンドが16箇所となっていますが、急速充電スタンドは全て無料で運用されているため思った以上に利用頻度が高く、1日平均8台が利用しているそうです。

▲屋久島の充電スタンド


屋久島のように、電力のほぼ全てをCO2フリーエネルギーで賄い、EVを走らせられるような場所はそう多くありません。しかし、同様の動きが他の離島、また、日本全国に広がってこそ、EVの意義もより大きくなると思います。

離島地域のEV&充電スタンド事情の特集は今回で最終回ですが、これまで取り上げた5つの場所ではそれぞれの事情に伴う困難や課題がありました。それでもなお、離島地域でEVが意味を持つことを示している事例もあり、今後、様々な場所で同時多発的にEVの普及が進んで行くことを期待したいと思います。また、面白い事例を見つけましたら番外編を行いたいと思いますので、引き続きGoGoEVユーザーの皆様からの情報提供もお待ちしております!

●参考ウェブサイト:
-鹿児島県ウェブサイト(屋久島CO2フリーの島づくり)
-屋久島交通タクシー

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