GoGoEVからのお知らせや、アンケートの結果、充電スタンド関連企業のプレスリリースを掲載しています。
2016年8月29日
日本で電気自動車(EV)の一般販売が始まってから、早や6年になります。発売が始まった当時、離島を中心に、エネルギー消費量・二酸化炭素排出量削減や、観光振興を目指したEV導入の取り組みが行われた事を覚えていらっしゃる方もおられると思います。例えば、沖縄県沖縄本島・宮古島、長崎県五島列島・壱岐、鹿児島県屋久島、新潟県佐渡、香川県小豆島・豊島などで幾つかのプロジェクトが行われました。その後、これらのプロジェクトがどのようになったのでしょうか。また、波及効果などはあったのでしょうかそこで、本コラムで複数回にわけて現状を取り上げたいと思います。
第一回は、各地のEV導入プロジェクトの中で、最もEV導入台数が多かったのが沖縄本島を取り上げます。
2011年春、沖縄本島にはEVレンタカー220台が導入され、急速充電器も高速道路を中心に整備されました。同時に、沖縄独自のEV充電スタンド課金ネットワークE-Quickが作られました。E-Quickは日立製作所や伊藤忠エネクスなどの大手企業を含む、沖縄県内外26社が出資して設立された、充電スタンドの設置・運営・管理を行う(株)エー・イー・シーの運営する充電認証サービスで、沖縄独自規格としてサービスがスタートしました。
▲沖縄本島に導入されたEVレンタカー(出典:EV・PHVタウンシンポジウムin沖縄資料より)
これら一連の取り組みが始まって以降、沖縄はEV普及の先進地として各メディアに取り上げられ、その後、日本のEV普及のモデル地区となる予定でした。
しかし、先日、以下のようなニュースを目にしました。
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平成28年(フ)第194号
沖縄県那覇市久茂地*****
債務者 株式会社エー・イー・シー
1 決定年月日時 平成28年7月29日午後4時
2 主文 債務者について破産手続を開始する。
3 破産管財人 弁護士 高橋 大地
4 財産状況報告集会・廃止意見聴取・計算報告の期日 平成28年10月5日午前10時30分
那覇地方裁判所民事第3部
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▲倒産情報公告資料室より抜粋
要するに、充電認証サービスを提供していた(株)エー・イー・シーが破綻したということです。続いて、沖縄に導入されたEVレンタカーがどのようになっているかについても調べることにしました。
2014年2月7日に沖縄で行われた「EV・PHVシンポジウム in 沖縄」にて沖縄電気自動車普及協会の白石様の講演において、2014年1月に、導入されたEVレンタカー220台のリースが切れ、順次中古市場に放出されていると報告されております。それから1年後の2015年1月には22台となっていると琉球新報にて報道が行われました。
そして、さらに1年後の2016年8月時点の状況について、当初導入していたニッポンレンタカー、オリックスレンタカー、日産レンタカーの各社に電話取材を行いました。その結果、いずれの会社もEVの取り扱いを中止し、沖縄県内にはEVは保有していないとの回答を頂きました。
上記3社以外では、スカイレンタカーが三菱アウトランダーPHEVを数台保有していますが、導入は2014年であり、リーフレンタカーが無くなった後の取り組みです。すなわち、EVレンタカーは当初の期待を下回り、全くと言って良いほど、市場に受け入れられなかったがわかります。
その後、観光におけるEVの活用については、2015年度よりトヨタ車体の「P・COM」を30台導入、沖縄本島本部半島を巡る「Ha:moちゅらまーい」プロジェクトが行われています。今のところ評判も上々で、沖縄における新たな観光レンタカーの形を示し始めたと言えるかもしれません。
▲小型EVによる観光イメージ(出典:トヨタプレスリリースウェブサイト)
充電スタンドについては(株)エーイーシーが運営するE-Quickの急速充電器の撤去が2015年より始まり、既に13箇所の急速充電器が撤去されました。
▲2015年10月時点で閉鎖された充電スタンド(出典:琉球三菱自動車ウェブサイト)
とは言え、本州側と同様、日本充電サービスやエネゲート、またトヨタメディアサービスなどの充電認証システムおよび充電スタンドも整備され、現在156件の充電スタンドが設置されています。つまり、日本の他地域と同様、充電スタンドの普及が進んでいる状況と言えそうです。
EVレンタカーについては2014年以降、数が少なくなりましたが、一般向けのEVについては順調に普及が進んでいます。次世代自動車振興センターの「都道府県別補助金交付台数」データより、EV、PHEV(プラグインハイブリッド車)、FCV(燃料電池自動車)の沖縄県における導入台数を見ると、H21年度からH26年度までで、累計945台が導入されました。H26年度時点ではFCVが十分な台数、販売されていなかったことから、ほぼ全台数がEVおよびPHEVと考えられ、上記レンタカー220台を除いても、700台程度の一般向けEVの普及が進んだと言えそうです。
沖縄県の人口が全国の1.1%程度であることを考えると、それなりには普及が進みつつあると言えるかと思います。
▲EV、PHEV、FCVへのH21年度~H26年度の補助金支出台数(出典:次世代自動車振興センター)
以上、沖縄の事例について見てきました。その結果、「成功事例」といわゆる「失敗事例」とを明確に分けることになりました。すなわち、以下の事がわかりました。
・沖縄の観光客向けEVレンタカーは定着しなかった
・マイクロEVを用いた観光客向けサービスは新たな価値を生み出しつつある
・沖縄独自の充電認証サービスは継続できない状況となったが、全国サービスが導入された結果、充電認証サービスは増加しつつある
・一般向けEVの販売はある程度順調となっている
沖縄での5年間の取り組みは、EVという『新しいサービス』の導入において、その用途が既存の代替となる場合には受け入れられることが難しい一方、新たな価値を生む場合やコスト的に抑えられる場合、芽が出始める可能性があると言えるかも知れません。
日本にはまだまだ8000万台のEV・PHEV以外の自動車があります。これらユーザーが本当にEV・PHEVに興味を持ち、そちらに移行したくなるためには何が必要か、沖縄での結果はその一端を示してくれていると言えるかもしれません。
次回は、長崎県五島列島の取り組みについて、「その後」を取り上げたいと思います。
●参考ウェブサイト:
-EVレンタカーの導入、沖縄で加速(2011年7月11日付・日本経済新聞)
-県内EVレンタカー、4年で220→22台 「充電不安」で激減(2015年10月22日付・琉球新報)
-EV・PHVタウンシンポジウムin沖縄-沖縄県EV普及促進協議会・白石武博氏発表資料-
-【EV観光】超小型EVで巡る本部半島「Ha:moちゅらまーい」プロジェクト(2016年2月1日付・GoGoEVコラム)
2016/9/3 22:22
導入した当初の頃だと思いましたが、その時期に沖縄に行って
ニッポンレンタカーでリーフをお借りしたことがあります。
問題があると感じたのはAECの充電料金システムでした。
確か、登録料2000円に加え充電料金500円/回という割高な料金体系と
私は感じましたので、充電設備は使わず1泊2日で100キロほど走りました。
当時の那覇市周辺は今と違いホテルの駐車場などに充電器が少なく
EVを受け入れる体制が整っていないまま見切り発車したのかなという印象を受けました。
今の沖縄本島では電気自動車のレンタルは行っていないとのことですが
以前に比べれば充電設備は増えましたし、リーフを販売している
日産系のレンタカー屋では再度導入すべきでは?と記事を拝読して感じました。
例えば、2000円で充電し放題カードを貸し出すとかCO2排出削減に繋がるような施策を
電気自動車を製造販売している車両メーカーは考えてほしいです。
2016/8/31 21:34
私も何度も沖縄に行ったことがありますが、個人での旅行だと飛行機往復+ホテル+レンタカーのパックでの利用が多いです。
その中でEVが選べれば良いのですが、EVが選択肢になくEVを選ぶとなるとそれぞれ単独での予約となり合計額で比較するとちょっと手が出にくい金額になってしまいます。
上記の金額的な部分だけでなく、宿で普通充電してチェックアウト時(or出発時)に満充電で出発できれば、夕方まで充電せずに済む可能性もあるのですが、現状では普通充電を備えている宿が少ないので出先での充電待ちに繋がる可能性もあります。
もし1日で2回も充電待ちに遭ってしまうとスケジュールが完全に狂ってしまいます。
あと充電スポット毎に認証の有無や使える認証方法が異なるので、初めての人にとってはハードルが高そうに思います。
また、充電カードをクルマと共に貸し出した場合の充電料金をどう精算するか?も少し疑問です。
そういったことからも現状では解っている人以外にはEVを貸しにくいように思います。
私は三菱販売店で代車が必要なときは基本的にi-MiEVしか借りませんが、お店の人によると上記のようなことから「解っている人しか代車としては貸しにくい」そうで、代車としては私以外の人にはほとんど貸していないそうです。
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