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2016年10月7日

【EV】パリモーターショー2016の顔となったEV/PHEV

今から3年前の東京モーターショー2013は、電気自動車(EV)/プラグインハイブリッド車(PHEV)が各社から多数展示され、自動車メーカー各社がEV/PHEVを本格的に投入し始めることを強く示唆する展示会でした。

既に発売が開始されていた三菱i-mievや日産リーフに加え、多数の新しいコンセプトモデル、市販予定車が公開され、その後、日産e-NV200や、三菱アウトランダーPHEV、海外メーカーではBMW i3、i8、テスラモーターズ モデルSなどの普及が始まっていくことになります。


○GoGoEV関連コラム:

-【東京モーターショー】スマート・smart for two electric drive(2013年11月27日付)

-【東京モーターショー】テスラモーターズ・モデルS(2013年11月29日付)

-【東京モーターショー】三菱自動車のPHEV(2013年12月2日付)

-【東京モーターショー】日野自動車 EV・PHEVバス(2013年12月3日付)

-【東京モーターショー】BMW i3とi8(2013年12月7日付)

-【東京モーターショー】日産自動車・スポーツカーEVコンセプトモデル(2013年12月7日付)

-【東京モーターショー】AUDI・プラグインハイブリッドA3 e-tron(2013年12月9日付)

-【東京モーターショー】ポルシェPHV・パナメーラS Eハイブリッド(2013年12月10日付)

-【東京モーターショー】日産・e-NV200(2013年12月11日付)

-【東京モーターショー】新たな乗り物・マイクロモビリティ(2013年12月12日付)

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一方で、2年後の東京モーターショー2015ではそれほどのEV/PHEVに対する熱気はありませんでした。自動車メーカーにとってあくまでも主流は内燃機関エンジンなのだと、取材をしていて感じたことを思い出されます。


それから1年後の2016年10月1日~16日にかけ、フランスパリで行われているパリモーターショーでは、東京モーターショー2015の雰囲気から一転、EV/PHEVがその主役となっています。

その最も大きな理由が、2015年に発覚したフォルクスワーゲンのディーゼル車排ガス不正問題だと考えられます。


この10年ほど、欧州では環境車の代名詞と言えばディーゼル車でした。ディーゼル車の排ガス浄化技術が進歩したことで、燃費も良く、経済面でも優れたディーゼル車が欧州市場を席巻していきました。その中心が、フォルクスワーゲンとダイムラー(メルセデス・ベンツ)でした。


元々、フォルクスワーゲンを筆頭に欧州の自動車メーカーは今後2020年代にかけて、自動車の電動化を進めていく意向を示していましたが、今回のパリモーターショーはそれらが強く鮮明化したと言えるのではないでしょうか。


それでは、以下、各社の提案したEV/PHEVを見ていきたいと思います。


●VW Studie I.D.

フォルクスワーゲンが汚名挽回で持ってきたEVコンセプトカーが「I.D.」という自動車です。2020年頃の販売をめざし、価格は同社の主力車種であるゴルフと同等レベルにするとのことです。また、航続距離は欧州のNEDCモードにおいて、400km~600kmとのことです。なお、販売時には、電池容量などによって幾つかのラインナップがでるようなことも考えられているようです。


また、I.D.という名前は、まさにIDカード(身分証明書)のIDという意味も含まれており、自動車が運転者を認識し、それによって自動車が運転者と一体となるようなイメージが持たれていると考えられます。例えば、シートや空調の設定など、既に一部の自動車で実用化されているものに加え、AR(拡張現実)などを用い、より自動運転に近づくところに応用されることが期待されます。



▲フォルクスワーゲン Studie I.D.


▲フォルクスワーゲンによる記者発表の様子


(参考ウェブサイト)

-Volkswagen auf dem Pariser Automobilsalon 2016: Weltpremiere der visionären Studie I.D.


●ダイムラー Generation EQ

ダイムラー(メルセデスベンツ)Generation EQコンセプトは、同社が新たに設けるEVラインナップで、同社では新たに「EQ」というブランドを用いた展開を考えているようです。おそらく、BMWの「i」シリーズのような位置づけではないかと想像されます。


今回、ダイムラーによって提案された「Generation EQ」コンセプトはSUVタイプであり、70kWhという大容量のリチウムイオンバッテリーを備え、1充電走行距離が最大500kmとのことです。また、モーター出力も300kWと日産リーフの80kWに比べると随分大きなものが使われています。これらスペックだけをみると、まるでテスラモーターズのEVに影響を受けたのではないかと思わされますが、ダイムラーならではの装備や性能となって発売開始されることを期待したいと思います。




▲ダイムラー Generation EQ(出典:ダイムラーウェブサイト)


(参考ウェブサイト)

-Electric mobility: Mercedes-Benz flips the switch: Generation EQ – mobility revisited


●Smart fortwo coupé / fortwo cabrio / forfour

日本でも販売されているSmartのEVがモデルチェンジされます。これまではクーペタイプのSmart fortwoのみでしたが、新たにオープンカータイプのSmart fortwo cabrioと、4人乗りのforfourがラインナップされます。


fortwoはドイツで2017年より発売されるとの事であり、税込の標準価格が€21,940からとのことです。電池容量などは前モデルと同じく17.6kWhで、航続距離はおよそ160km前後とのことです。



▲スマート・フォーツー、フォーフォー(出典:ダイムラーウェブサイト)


(参考ウェブサイト)

-World premiere for the fourth generation smart electric drive: Electrification of all smart models


●OPEL Ampera-e

OPELは米国ゼネラルモーターズ(GM)の欧州子会社であり、これまで、EV/PHEVについては、GMのVOLTをAmperaという名前で販売してきました。そして、GMが新たに販売を開始したEVであるBoltの欧州版が、今回のパリモーターショーで発表されたAmpera-eになります。

すなわち、GMの車種が欧州でも早速展開されることになりそうです。


Ampera-eの特徴は、欧州のNEDCモードで500kmの航続距離があるとのことです。GM Boltと同じ車体のはずですが、Boltより120km以上の航続距離が伸びています。これは米国EPAモードでの測定のためですが、Opelは500kmの航続距離を強くアピールして販売を行うようです。



▲Opel Ampera-e(出典:Opelウェブサイト)


(参考ウェブサイト)

-Range of over 500 Kilometers: Opel Ampera-e World Premiere in Paris


●ルノー TREZOR

今回のパリモーターショーで一際目をひいたのが、お膝元であるルノー社の出品でした。ルノーは日産との連携によりEVにそれなりに力を入れてきたと言え、ZOEなどもEVラインナップを持っています。しかし今回のモーターショーで同社が提案したコンセプトカーは、それらとはまるっきり異なるものでした。

まずは、以下の動画を見てみてください。


手を放して運転する自動運転、まるで戦闘機のコックピットに入るような扉の開閉、ボンネットにあるエアーインテーク、様々なコンセプトが散りばめられた車になっています。



3年前の東京モーターショーで日産が展示した「スポーツカーEVコンセプトモデル」と何か通じるところも感じますが、それでもなお、色々な点でどことなくフランスの香りが漂う自動車と言えそうです。このEVが将来、どのような形で市販車として形になるか、楽しみにしたいと思います。


●ルノー ZOE

今回のパリモーターショーでルノーはコンセプトカーだけでなく、実用車の改良についても発表を行っています。これまで同社が販売してきたZOEのバッテリー容量は、これまでの22kWhから41kWhに増やすことで、航続距離(NEDC欧州ドライビングモード)も240kmから400kmに増加させます。既に販売価格は€23,600~(税込)と発表され、今年中に発売が開始されます。

実用上の航続距離としても300kmが確保できる見通しであり、本当の意味で、これまでガソリン車を使ってきた人が電欠の心配なく使える自動車となってきたと言えるかも知れません。



(参考ウェブサイト)

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The ZOE goes on sale in France with a record driving range of 400km NEDC


●GLM G4

京都に本社を置くEVベンチャー企業、GLMは同社の次世代EVスーパーカーのコンセプト車両G4を展示しました。同社はテスラロードスターと同様、スポーツカーにターゲットを絞り「トミーカイラZZ」という自動車を2015年度より限定的に販売しています。その同社が満を持して発売する量産車がG4であり、4ドア4シートと実用面にも気を配った設計になっています。しかし、それだけでとどまることはなさそうです。

まずは以下の動画をみてみてください。何と言っても目につくのが扉の開き方であり、ビデオの最後のところでちらっと映し出されます。既に量産に向けた開発を行っているとの事であり、今後、どのような形で販売が行われるのか、価格なども気になるところです。


(参考ウェブサイト)

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●三菱自動車 GT-PHEV Concept

SUV型PHEVの市場を開拓した三菱自動車が、その方向性をさらに強く指向している事がわかるのが今回世界初公開された「MITSUBISHI GT-PHEV Concept」です。PHEVシステムは大容量バッテリーとなり、またフロントに1基、リヤに2基で構成される4WDシステムとPHEVに適した専用エンジン発電を採用することで、EV航続距離120km、総航続距離1200kmを実現するコンセプトカーとなっています。往年の名車パジェロを世に送り出しただけあると思えるコンセプトと思えます。


パリモーターショーでは、欧州仕様のアウトランダーPHEVなども公開するとのことであり、三菱自動車が生き残りをかけてPHEVに開発資源を注力していることが伝わってきます。燃費問題などの課題を全て解決し、是非、ワクワクするSUV型PHEVを世にもっと出して欲しいと期待します。


▲MITSUBISHI GT-PHEV Concept(出典:三菱自動車ウェブサイト)


(参考ウェブサイト)

-三菱自動車工業・2016年パリモーターショー出品概要


●その他

他のメーカーでは、トヨタ自動車が新型プリウスPHVや、燃料電池自動車のMIRAIおよびFCV plusの展示、ポルシェがパナメーラPHVの新型、BMW i3の電池容量増加型、i8の限定カラー車なども展示されています。また、テスラモーターズもModel SやModel Xを展示したとの事です。


今回のモーターショーを機に、欧州でもEV/PHEV普及に向けた動きが徐々に加速してきたと言えるかも知れません。今後、世界的にEV/PHEV普及に向けた動きが加速する事を願っています。

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コメント一覧

2016/10/8 21:47

radolf2014 様
GoGoEV事務局です。いつもコラムをお読みいただき、また、コメントも頂戴し有難うございます。
さて、頂きました点につきまして、今後のコラム記事内容を考えるにあたり、参考にさせて頂きます。全てを同時に扱えないと思いますが、実際にEV/PHEVを使っている中で気付く事も多いですし、徐々に反映させて頂ければと思います。
引き続き、随時コメントを頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。

evadmin

2016/10/8 16:44

電気自動車で「散々」いわれている事象に ①航続力 ②充電時間 ③整備性/劣化度合い ④価格 があると思われる。これらはもっと突っ込んだ記事や内容をお願いしたいです。

■①例えば、夏場と冬場のように、気温が零度の場合と常温25度の時の差。気温0度の時は常温25度時より何%となり航続力はどうなるのか。
■②充電時間や「急速充電や普通充電に対応」は当然としても(新PHVであるような100V-6A)のようなモードをもっている等の情報。仮に電圧マルチロールでどんな弱い電圧・電流であっても電池に充電するようなら「風力発電に直結」という手も考えられる。
■③交換保証の内容/ 交換できる・できないの技術的仕組みがあるかないか/ 将来的に電池が高性能となった場合まで考慮されているか/ 劣化度(5年で80%かどうか)
■④kwあたりの車両価格。又は、電池のみの交換価格。

実際、もう少し(電気自動車の性能を推し量る)指標としてはこう言う物がほしいです。
60km/hとして「2km-10%の斜度における登坂時の消費電力」その逆の「下りにおける回生発電力」。これの差が小さい物ほど高性能であるという数値評価。

単純に電池の大小・高性能→距離を競っても「それだけでは消費者は納得しませんよ」という所をもう少し「流れとする」事は必要と思います。

radolf2014