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2014年11月5日
EVをマイカーとして選択することは、環境問題に対する貢献であるかも知れません。今日のコラムでは、EVをさらに活用し、より環境に貢献する技術であるスマートグリッドをご紹介いたします。
スマートグリッドの技術の一つに、ディマンドレスポンス(以下、DR)という技術があります。DRとは、電力の使用情報を集め、消費者が電力使用状況に応じて消費量を削減し、社会全体での電力不足を解消する取り組みです。ここに、EVの蓄電池を利用し、より効率的にDRが行うというアイディアが提案されています。
リーフの場合、24kWhの容量の蓄電池が搭載されています。これは、一般家庭の平均電力使用量の約2日分に相当します。このEVの蓄電池を送電網と接続、電力需要が余り気味の際に充電すると共に、不足気味の際には放電する事で、電力供給の安定化に貢献します。一例として、以前当コラムでもご紹介しました、「EVとスマートハウスを連携して家庭内で節電を達成するシステム」や、「廃車になったEVの蓄電池に再生可能エネルギーの電力を蓄える取り組み」などが挙げられます。
●関連コラム
-【EV】EVとスマートハウスの「合わせ技」で可能になる新たな暮らし
▲「LEAF to Home」(出典:日産自動車)
ところで、DRには大きく2つの考え方があります。一つは、時間帯や需給状況に応じて電気料金を調整する「電気料金ベースDR」で、電力需要が余り気味の際には電気料金を安くし、電力消費を促すと共に、反対の場合には電気料金を上げます。もう一つは「インセンティブベースDR」であり、需給がひっ迫した際、需要家は節電を行うことで対価を受け取れる仕組みです。
「電気料金ベースDR」の場合、深夜割引や夏場のピーク料金などを設けるだけにとどまらず、その日の天候や状況などによって、大きく値段が変わります。例えば、北九州市では前日に翌日の天候などから価格を決定し反映する「ダイナミックプライシング」の実験が行われています。なお、、ダイナミックプライシングを適用した一般家庭は、適用しない家庭とくらべ、およそ20%の節電効果が実証されているとのことです。
▲北九州スマートコミュニティ推進事業でのCEMS(コミュニティ・エネルギー・マネジメント・システム)(出典:JAPAN SMART CITY PORTAL)
また、「インセンティブベースDR」の場合、削減した電力を発電したものとして扱う「ネガワット取引」により市場が形成され、小口需要家の電力をまとめて取引を行うアグリゲーター(集める事業者)が市場の主体となることが予想されています。
先月、エネルギーマネジメントや電力流通情報などのサービスを行っている株式会社エナリスが、日産自動車と共同で、リーフと電力供給システム「LEAF to Home」を活用した実証実験を行うと発表しました。実証実験の目的は、エネルギーマネジメントにおけるEV蓄電池の検証で、エナリスがアグリゲーターとして培ったノウハウを生かし、ピーク時の供給力・予備力を調達するためのDRサービスを行います。
ご経験をお持ちでいらっしゃる方もおられると思いますが、これまでのDRは、空調や照明を手動で調整するよう要請したり、自動制御を行うことで節電を実施していました。しかし、今後、電気自動車も含む蓄電池により確実な節電を行うことが考えられています。
▲エナリスのDRのアグリゲーションビジネス(出典:ENERES)
今後EVが増え、それらを活用したDRの導入が進めば、将来、風力発電や太陽光発電など、不安定な電源に対しても有効な対策となるかもしれません。EVの大きな可能性を垣間見た気がします。
●参考
(コラム執筆者:snak)
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