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2014年11月28日

【EV・蓄電池】硫黄を使った従来比3倍のエネルギー密度を持つリチウムイオン電池を開発(GSユアサ)

先日のコラムにおいて、日立製作所が、従来のリチウムイオン電池よりも電池容量を増やした電池を開発したことを取り上げました。一方、三菱自動車i-miev用リチウムイオン電池などを製造するGSユアサも今月17日、従来のリチウムイオン電池用電極材料に比べて3倍(正負極の材料質量に対して)の容量をもつリチウムイオン電池の放電に成功したことを発表しました。


●GoGoEV関連コラム(2014年11月19日付)

-【EV】リチウムイオン電池の新技術でEVの航続距離を2倍に(日立製作所)


今回GSユアサが開発した電池は、正極材料には硫黄・多孔質カーボン複合体、負極材料にはシリコン系が使われています。シリコン系材料が使われるのは日立のものと同じですが、特徴は正極材料になります。


▲試作したリチウムイオン電池セルの外観(出典:GSユアサウェブサイト)


その特徴とは、正極に「硫黄」を使ったことです。これは以下の4つの理由があるからです。

 ・低コスト

 ・資源的に豊富

 ・無害

 ・1675mAh/gと高い理論容量


同社は、正極側を従来のリチウム金属酸化物から、硫黄(イオウ)を使った構成に変えることで、電池セルあたりの電圧が従来の約半分になる一方、蓄えることが可能な容量を8倍に増やし、結果的に3倍のエネルギー密度を実現しました。


そして、今回発表した技術で特徴的なのは、製造条件の確立をしたことと言えるのではないでしょうか。正極において、硫黄を担持する(=取り付けるイメージ)ために、カーボン材料にナノメートルサイズの細孔を均一に作れる条件を見つ、その細孔に、硫黄を効率よく充填する技術を開発したとのことです。


これまでの他社の研究成果では、細孔の大きさが不均一であることに加え、硫黄がうまく細孔中に分散していなかったとのことであり、それを解決する事で飛躍的なエネルギー密度を達成したとの事です。


▲従来のリチウムイオン電池と比較した放電特性(出典:GSユアサウェブサイト)


今後の目標としては2020年までに自動車用サンプルの出荷を目指すとの事です。日立のプレスリリースに続き、今回GSユアサからも電池のエネルギー密度向上の発表が行われたことを考えると、思ったより近い将来、電気自動車の充電容量は伸びるかもしれません。


各社の動向に引き続き注目していきたいと思います。


●参考ウェブサイト:

-従来比3倍のエネルギー密度をもつ次世代リチウム二次電池の放電に成功(2014年11月17日付)

-癖のある「硫黄」を使って容量3倍、次世代リチウム蓄電池

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