独BMWの日本法人「ビー・エム・ダブリュー株式会社」は、総合オンラインストア「アマゾンジャパン（Amazon.co.jp）」にて電気自動車「i3」の新車販売を2015年4月1日より開始しました。他に、米国電気自動車ベンチャーであるテスラモーターズは自社サイトを通じてユーザーに電気自動車の直販を行っています。徐々にですが、電気自動車をネットを通じて販売するメーカーが出てきています。

（出展：Amazon.co.jpよりスクリーンキャプチャー）

そこで、今日のコラムではネット通販を通じ、車を販売することのメリット・デメリットについて考えていきたいと思います。

まず、消費者にとってどのようなメリットがあるかを考えてみたいと思います。消費者にとっては、主に次の４つのメリットが考えられるのではないでしょうか。

　○仕事などで忙しくても自宅で車の購入ができる。

　○近くにディーラーがなくても、購入できる。

　○セールススタッフとの対面を最小限に留めることができる。

　○今後、ネット通販を通じ車を販売するメーカーが増えると、ウェブサイト内で価格・スペックの比較が簡単にできる。

次に消費者にとってのデメリットです。例えば、以下のようなことが言えると思います。

　○試乗ができない。

　○相談したいときに、電話やメールで聞くことが面倒。

　○購入前に抱いていたイメージと違う場合がある。

企業側にとってはどのようなメリットが考えられるでしょうか。

　○立地に関係なく、最小限の店舗数で自動車の販売が可能になる。

　○（ネット販売が普及すれば）店舗数を削減できるため、運営のコストが少なくなり、広告費やその他分野に投資できる。

　○車離れが進む若者等にもネットを通じ販売訴求でき、潜在的なお客様に車をアピールできる。

　○IT技術を駆使し、多くの情報を分かり易くネットを通じて訴求することができる。

最後に企業側のデメリットです。

　○お客さまとの接点が少なくなり、オプション商品のアピール等ができない。

　○ネットを使えないお客さまへの販売チャネルがない。

以上のように、自動車のような高額かつ、生活に密着する商品をネットで販売するには様々なメリットやデメリットがあげられます。しかし、やはりネット販売でしか出来ない事もあることも事実です。

これまで「Amazon」のような総合オンラインストアを使われた経験のある方はご存じだと思いますが、ユーザーの過去の購入履歴や検索履歴などが自動的に分析され、お薦め商品が自動的に表示されます。EVは自動車である一方、最先端の電化製品、環境に優しい機器という側面もあり、それらに興味がある潜在的なお客様に強く訴求することができるでしょう。すなわち、このようなウェブサイトで販売を行う事自体が、新たなマーケティングになるという側面が考えられるわけです。

また、BMW「i3」ような最先端の自動車の購入を検討する人は、新しい物が好きな方、新製品に対するのアンテナの感度が高い方とも言えます。言い換えると、このような方がイノベーションをけん引していると思われるわけです。

現代においては、これらの方々がインターネットを通じた情報取集を行っている場合は多いと見られており、その意味でEVをネット販売することは、そのシナジー効果が期待できると言えます。

また、テスラモーターズのような比較的新しい会社にとって、ネットの活用は有効とも言えるでしょう。それは、ディーラー等の既存の販売チャネルがなくても、最小限の投資のみで海外進出等に挑戦できるからです。ディーラー網を整備するには人員、土地、費用、整備関係の認可など様々な分野に経営資源を投入することが必要ですが、ネット販売を中心に据えるとそれらが大きく抑えられます。

また、ネット販売によりディーラーにおける中間マージンが少なくなり、これまで行われてきたディーラー単位での値引きなどが少なくなるかもしれません。一見すると消費者にとっては不利になるように思いますが、ディーラーに左右されず販売価格が一律になることで、不公平感なく車を購入できるのメリットもありそうです。

今後もネット通販を使った自動車販売は広がっていきそうに思います。様々な販売チャネルを通じたEVの販売が増え、今後ますます普及が進むことを期待したいですね。

●参考ウェブサイト：

-ＢＭＷのＥＶ「ｉ３」、ネットで販売開始　アマゾン（産経ニュース）

-BMW i3 販売ページ（Amazon.co.jp）