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2015年10月26日
世界で最も自動車を販売している企業グループであるトヨタ自動車はプリウスに代表される環境自動車の投入で2000年代に世界販売台数を拡大させてきました。そのトヨタ自動車が次に狙う戦略は何でしょうか。同社の戦略は同業他社だけではなく、世界の産業、環境政策、エネルギー政策などにも影響を与えています。
そのトヨタ自動車が今月14日、「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表、今後35年間で同社が目指す環境対応の方策を明示しました。本日のコラムではその戦略の中から、次世代自動車に関する分野について取り上げたいと思います。
今回、トヨタ自動車が策定した「トヨタ環境チャレンジ2050」は大きく6つの柱・目標が掲げられました。
(目標1)2050年のグローバル新車平均走行時CO2排出量を2010年比で90%削減
(目標2)製造~廃棄までを含めた自動車本体のCO2排出ゼロ
(目標3)2050年にグローバルで工場からのCO2排出ゼロ
(目標4)工場における水使用量の最小化
(目標5)リサイクルなどを通じた循環型社会構築チャレンジ
(目標6)自然保護活動チャレンジ
このうち、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池自動車(FCV)など、次世代自動車に関する項目を取り上げます。
まず、目標1に掲げられた2050年までにグローバル市場で販売する新車のCO2排出量を90%削減するとの目標ですが、それに対してトヨタ自動車は以下の図のようなイメージを提示しています。
▲新車販売における次世代自動車の割合のイメージ(出典:トヨタ環境チャレンジ2050)
2020年頃までの新車販売はハイブリッド車を中心としますが、それ以降、PHV(PHEV)、またFCVの販売を拡大させる事を考えているようです。そして、トヨタ自動車にとってEVは更にその後という位置づけがされています。このような戦略となるのは何故でしょうか。
それは、同社が考えるモビリティの位置づけを見れば明らかです。
▲次世代自動車における各車種の位置づけ(出典:トヨタ環境チャレンジ2050)
トヨタはEVを近距離用途と位置づけ、米国のテスラ社などが参入している長距離EV市場は考えていません。一方で、中長距離用途ならびに大型自動車用途にはFCVが位置づけられており、その間をハイブリッド車やPHEVが担うというイメージを持っています。
すなわち、トヨタ自動車の主力である乗用車市場において、ハイブリッド車から始まり、PHEV、そしてFCVと次世代自動車の種類を増やし、それを大型車や小型車などに拡大していく戦略を取っているように見えます。
また、FCVについては昨年末より発売を開始しましたが、2020年以降、本格的に市場に投入していくことを見込んでいるようです。
▲FCV販売における当面の状況(出典:トヨタ環境チャレンジ2050)
一方、今回の環境チャレンジの中で次世代自動車に関係するのが、工場でのCO2排出削減の取り組みになります。というのは、ここに新たなエネルギーを使っていこうという取り組みを同社が開始するからです。
以下の図は同社が考える工場起源CO2排出量の見込みですが、これまでのカイゼン活動に加え、2020年代後半より再生可能エネルギーと水素エネルギーを使おうと考えています。
▲工場で排出するCO2のイメージ(出典:トヨタ環境チャレンジ2050)
とりわけ興味深いのは、工場での電力を風力発電や太陽光発電などの自然エネルギーから調達、また、同様に自然エネルギーなどから製造された水素を工場内に導入し、様々な用途に使おうと考えています。BMWでは既に「iシリーズ」の製造に係る電力を全て水力発電で賄っていますが、今回のトヨタのチャレンジは、グローバルレベルで全ての工場において実施しようとするところが驚きです。そして、これらのエネルギー消費の形はおそらく、日産が社内で行っているように、PHEVやEV、そしてFCVと連携した形で実現していくと考えられます。
▲工場におけるCO2削減の取組方法(出典:トヨタ環境チャレンジ2050)
プリウスの成功を機に環境車分野での世界的認知度を大幅に拡大したトヨタ自動車はそこに留まらず、今回、更なる高みを目指したチャレンジを続けることを明言しました。今後の次世代自動車は自動車単体に加え、工場や社会システムとの連携がより求められてくるでしょう。
このような取り組みが他の自動車メーカをも刺激し、自動車全体がより環境に良い乗り物に変わっていくことを期待したいところです。
●参考ウェブサイト:
2024年11月18日 【結果報告】環境問題への対策のための実証実験【昼充電へのシフトによる環境貢献】New |
2024年11月5日 環境問題への対策のための実証実験が終了しました【ご協力への感謝と参加特典のご案内】 |
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