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2017年9月25日
今年7月末、トヨタ自動車が電気自動車(EV)を2022年にも国内で販売する方針との報道がありました。2020年東京オリンピックに向けたEV専用車の開発を行っているとの話もあり、トヨタのEVに関する動向も気になるところです。
ところで、トヨタ自動車はEVに採用する電池技術として「全固体電池」を挙げています。「全固体電池」は従来のリチウムイオン電池やニッケル水素電池に比べ、充電時間が短く、また、電池容量も大きくなり、EVにとっては航続距離が長くなると予想されています。
とは言え、「全固体電池」ってどのような電池なのでしょうか?本日のコラムでは、「全固体電池」とは何かについて簡単に説明したいと思います。
2009年以降に量産された多くのEVは「リチウムイオン電池」が採用されてきました。この「リチウムイオン電池」は、化学的な反応を利用した蓄電池であり、電池内部は正極と負極と電解液で構成されています。そして、化学反応により発生するリチウムイオンを電解液の中で行き来させることで、充電と放電を繰り返し行います。
「全固体電池」もよく似たメカニズムを利用しており、「リチウム電池」に使用していた電解液が、「全固体電池」では固体電解質に代わります。つまり、電解液(液体)ではなく、固体電解質(固体)の中を、イオンが自由に行き来することで、充電と放電を行います。
▲リチウムイオン電池と全固体電池
では、電解液(液体)から固体電解質(固体)に代わることで何が違うのでしょうか?液体の場合、液体特有の問題、例えば液漏れなど安定性に支障をきたす問題。また液体を囲むためのカバーが必要なため、電池をつないでいく時に一つ一つの電池にカバーが必要なため、どうしても大きさが大きくなる問題などがあります。これに対して、固体の場合は、液漏れもありませんし、カバーも不必要となります。
また、トヨタ自動車、東京工業大学の研究グループによって開発された「全固体電池」は、従来の「リチウムイオン電池」と比較して、高いエネルギー密度(単位重量あたりに貯えられるエネルギー量)、高い出力密度(単位体積あたりに放電可能なエネルギー量)を持っており、EVに搭載することで、航続距離を長く、充電時間を短くすることができるようになります。つまり、「全固体電池」の開発により、EVとして使う場合の不自由さが減少するようになると考えられます。
「全固体電池」は、世界的にも研究が進められていますが、今回の報道は日本勢が一歩先に先んじたことを意味しているかと思います。日本の誇る技術力で「全固体電池」の製品化を進め、世界的な車の電動化の波に乗ること、また業界を牽引していくことが期待されます。
東京オリンピックに向け、様々な技術が開発され、一部、実証や導入が行われることでしょう。EVの進化もますます進んでいきそうです!
●参考ウェブサイト:
-ネイチャー・ジャパン「次世代電池を牽引する、全固体電池開発」(ハフィントンポスト2016年07月22日付)
-国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構・技術戦略研究センターレポート Vol.5(2015年10月号)
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